白翁前期作品集
伝統工芸技法を習得・体得した後、白翁独自による芸術手法を加味しつつ制作完成した作品です
横山大観記念館 蔵
乾漆瓦当文による【菓子盆】
(昭和6年)
昭和53年7月15日
大観記念館よりのご依頼で白翁が講演をしております。
その時の題目は
「不変の生命力を持つ漆の歴史と独創の漆画などについて」でありました。
その講演の後で見せていただきましたのが、昭和6年美校3年の時、
大観先生が私の乾漆盆を愛蔵品としてくださり、その時の作品でした。
白翁の当時の記述として
{当時と全く変わらない美しさを見て感慨深く、また改めまして自信と誇りを持ちました}
との記録が残されております。
京都洛東迎賓館 蔵
金胎象嵌・乾漆二枚折屏風【扇面散】
(昭和12年頃制作)
吉田茂内閣時代に国務大臣を務められた
財閥・大野木秀次郎氏のお屋敷で当館は
登録有形文化財に登録されております
当館には白翁前期作品が多数納められております
【12支神将・二枚折屏風】
(昭和12年頃制作)
曲尺:高さ5尺 幅:3尺5寸
銀地(粗)・金、青金、青貝などを使用している
当時の外務大臣官邸で有田・クレーギ会談の折に飾られた後、大野木氏蔵となる
【扇面散蒔絵小箪笥】
(昭和12年)
【扇面散飾棚】
(昭和18年)
※下の写真は
この扇面散飾棚が組み立てられる直前の各部所
の分解写真です
有田八郎氏 蔵(当時外務大臣)
刻漆文・【春秋の意】衝立
曲尺:高さ5尺 幅:4尺
(昭和12年10月完成)
表は満開の梅図
裏は紅葉
手許箪笥【漆仙果文飾筥】
(昭和15年)
紀元2600年奉祝美術展覧会出品
出石武三氏(京都・株式会社出石本店、取締役社長) 蔵
【菊高蒔絵硯筥】
(昭和13年6月)
昭和13年6月12日
有田八郎氏邸にて白翁作品説明会を開く
出席者 米内光政氏(第37代内閣総理大臣)
竹越与三郎氏(政治家) 石橋湛山氏(後の内閣総理大臣) 渋沢敬三氏(第16代日本銀行総裁)
石橋泰三氏(後の経団連会長)
出石武三氏が出席
その折に菊高蒔絵硯筥
碁器具(碁盤)
(昭和13年4月)
盤側四面は華々しい草花の高蒔絵で表され、盤面は
銀地で縦横各19本の線は、純金で引かれ玉は白玉と
翡翠で制作されてあります。
小磯国昭氏(当時陸軍大将) 蔵
手許箪笥【漆仙果文飾筥】(昭和15年)
同作品で、もも3個の漆仙果文飾筥は
有田八郎氏が所蔵されています。
伊勢神宮 蔵
うるし描き・木地蒔絵乾漆画
(昭和15年頃制作)
文字は当時外務大臣 有田八郎閣下の直筆書体
その書体を馬図と共に白翁が漆描き完成
曲尺:横6尺 縦3尺
伊藤長兵衛氏(六代) 蔵
兵庫県芦屋市 実業家
【高蒔絵手許宝石箪笥(藤)】
(昭和17年9月)
【飾経筒】
(昭和25年)
荒れ動く激しく揺れる大波に物ともせず
そそり立つ岩盤、その中で舞う図案化
された数羽の古代鳥が示されております
第6回、文部省美術展覧会出品作品
他に白翁作品で「棗」・「乾漆香炉」
を所蔵されております
櫻井菊市氏 蔵(大阪)
手許宝石箪笥【秋夜月】(昭和19年)
この作品はとにかく多量の純金を使用して制作されました。
戦時中の事で供出にあった場合、
この作品ごと提出すればよいとの
気概で制作されていた事が白翁の
記述に残されております。
金体乾漆蒔絵煙管(四季12本揃 )
(昭和25年完成)
金属を手打ちとなしそれを素としてその上に漆を厚く下地120回に及ぶ。
1回毎に高温120度に焼き付け銀地の上に四季の草花をデザイン高蒔絵として完成す。
図柄は梅、菊、牡丹、撫子、藤、紅葉、竜胆、桜、桔梗、菖蒲、水仙、野菊の12本
210㍉/1本
総梨地金胎菊高蒔絵・宝石箪笥
(昭和12年着手 昭和25年完成)
金胎象嵌蒔絵二枚折屏風【憩い】
(昭和33年完成)
昭和26年着手、他の作品同時制作の為、
かなりの制作日を要した作品
高さ135㎝ 横174㎝
乾漆曼荼羅【紅梅】
(昭和60年頃制作)
漆画技法による乾漆箆芸で
指頭点描・立体漆画
直径30㎝ 高さ42㎝
京都洛東迎賓館 蔵
総梨地金胎高蒔絵・宝石箪笥
金胎象嵌高蒔絵硯筥
金胎高蒔絵・飾り箪笥
側面
裏面
正面
総梨地金胎高蒔絵・宝石箪笥
金胎象嵌高蒔絵硯筥
箱表
箱裏
金胎高蒔絵・飾り箪笥
正面
正面
上面
入山白翁|Hakuo Iriyama -独自技法の一部を公開 - 1990年12月2日
白翁が亡くなる1年前に
療養所にて制作過程を北島照明氏に白翁技法を披露する
※北島照明氏(日大総長秘書を経て、日大芸術学部教授)